ヒトラーのデザイン
RED: Design under Adolf Hitler (2017) 松田行正著 四六判変型並製368ページ 左右社 定価2700円+税 購入するby Yukimasa Matsuda Softcover: 368pages Language: Japanese Product dimensions: 18.8×12.4×3cm Price: 2700yen+tax
日本の政治家の失言や暴言のなかにはしばしばヒトラーやナチスの話がでてきます。第二次世界大戦後70年以上経っているのに、人類はいまだにヒトラーの呪縛に捕らわれているからなのではないでしょうか。そこでその呪縛の謎を、「デザイン」に焦点を当てて解こうと試みているのが本書です。いわく、ヒトラーのデザイン戦略における危険な官能性とは何か、です。
そのために、約450点という盛りだくさんの図版とともに、今現在もつくられ続けられているナチス関連の映画を重要な導き手として展開しました。ナチス関連映画はどれも、観客を強く動揺させる力があります。人間はどこまで無慈悲になれるか、という問いを常に突き付けているからなのかもしれません。結局、引用したナチス関連映画は81本、それ以外が42本と、120本以上の映画に触れることになりました。
色はナチスのデザイン戦略の要でした。そこで書名を、これほど赤色を効果的に使った組織がそれまでなかった、という意味で「RED」としました。全体の本のつくりにも、赤・黒・白というナチス旗を彷彿させるカラーリングで、色彩観を強調しています。また、小口にはヒトラーの睨んだ恐ろしげな顔が刷り込まれています。