2の冒険(2015)
松田行正 著
A5判変型 コデックス装 240ページ
定価 本体2,048円+税 ⚫︎購入する
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Powers of two
by Yukimasa Matsuda
Softcover 240pages
Language: Japanese / English
Product dimensions: H20×W10×D2cm
Price: 2,048yen+tax
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イームズ夫妻で有名な『パワーズ・オブ・テン』に倣ってつくった「2」版です。2の0乗から2の102乗まで並べています。2の0乗は「1」ですが、その「1」を1枚の紙と想定し、0.16ミリの厚さを持つ1枚の紙が積み上げられて宇宙にまで行く、というコンセプトの本です。1枚の薄い紙が積み重なっても2の102乗まで行くと、宇宙の直径に近い厚さにまでなってしまいます。103乗となると、もはや比較の対象がなく、続けても意味がないので、102乗で止めました。
また、1枚の紙は3回折ると16ページになり、これを16束集めて綴じると256ページの本ができます。この256ページの本が、2の7乗で1冊でき、2の8乗で2冊、2の9乗で4冊、2の10乗で10冊という具合に倍々で増えていきますが、その冊数が本書のメイン・コンセプトで、宇宙の果てまで何冊積み上げれば届く、というような表現をしています。
本書の大きさは、タテ2(20cm)×ヨコ1(10cm)×厚さ10分の1(2cm)になるようにつくっていますので、立方体に積み上げるのも容易です。この判型ですと、1立方メートルのなかになんと2500冊も入るのです。
そこで、各累乗の厖大な数の本が、一辺どのくらいの立方体になるかも計算しています。ちなみに、102乗に至った本を立方体に積み上げたときの一辺の長さは約25万km。地球から月までの約3分の2くらいの長さです。この数字は超巨大には違いありませんが、宇宙の果てまであと少しということを考えれば、意外に小さい感じもします。
と、全編数字だらけなのも味気ないので、各ページに必ず入る「0乗から102乗までの「2」を、さまざまなものから触発されたイメージになぞらえてイラスト化しています。たとえば、マンガ「あしたのジョー」のパンチの軌跡のような「2」、という具合です。
本書は、実際に0.16ミリの厚さの紙を使い、それの256ページ分の厚さになるようにつくっていますので、本書のなかであらわしている本の冊数とイメージが完全にリンクします。ちょうど、建築家のルイス・サリヴァンが唱えた「形態は機能に従う」を地でいった本ということができるかもしれません。