優生思想史
The history of eugenics
-
人をランクづけする安易な方法は人種であり、知能を含めた障害の有無などです。遺伝子研究の歴史は、それらを加速させましたが、現在のDNA論のなかにも差別の温床があります。「淘汰」に対する「逆淘汰」といういびつな考え(頑健な者は戦争にいって死に、体の弱い者が結果的に生き残って子をなす)も生まれ、20世紀は、優生思想花盛りでした。イギリスではじまった優生学は、アメリカで盛り上がり、ドイツはアメリカに倣い、日本もドイツに倣いました。ナチスの優生的暴虐ばかりが語られますが、アメリカが(本人の承諾なしに行う)断種の歴史に果たした役割は大きいようです。インド・中国も断種とは不快関係がありそうです。そこで各国の断種法の歴史を中心に優生思想の発展・変貌を概観してみました。