中国宦官史
eunuch
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宦官とは性器を切除(ペニス+睾丸)され、あるいは自ら切除して宮廷に仕えた男たちのことを言います。宦官は、歴史上、エジプト、ギリシア、ローマ、トルコ、インド、中国、朝鮮、そしてアラブ世界でみられました。ほとんどが宮廷の奴隷として、戦争捕虜などが去勢されて使われたのです。ペニスはもともと戦闘での戦利品でした。敵の力を奪い味方の力を誇示する最適の方法でもあったからです。
また、仕官を求めて自ら性器を切除するもの(中国では自宮と言います)もいました。キリスト教徒のなかにも色欲が求道の妨げになるとして、自宮してしまうものもいたようです。英語で宦官のことをeunuchと言い、ギリシア語の「ベッド(eune)を守る(ekhein)」からきているそうです。宦官の宮廷での特殊な仕事を思わせます。当時の中国は一夫多妻制で、中国歴代の皇帝は3千人から1万人の后妃を宮殿に囲っていましたが、嫉妬深い皇帝にとって、この后妃の身の回りの世話をする奴隷は性的能力を喪失していることが必須条件でした。
ここでは、中国4000年の宦官制度を取り上げました。軽蔑されながらも皇帝に取り入って権力を握るしかアイデンティティを持ち得ない宦官の、哀しい栄光と没落の歴史です。
宦官にとって残酷なのは幼児期に性器切除しても性器が成長する場合もあり、そのために3年に1度小手術、5年に1度大手術が義務づけられていたそうです。